映画「英国王のスピーチ」あらすじ&ネタバレ感想~王族と言語療法士の位を超えた絆を刮目せよ!!~

英国王のスピーチ ビジュアル-min
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映画「英国王のスピーチ」は、吃音症に苦しむイギリス国王のジョージ6世がある言語療法士と一緒に協力し、懸命に自らの内面や責務に対して向き合い、克服していく史実を描いたヒューマンドラマ作品。

ジョージ6世と言語療法士のライオネルとの、ぶつかり合いながらも心を交わし合う友情に、めちゃくちゃほっこりとなって癒されます。

第83回米アカデミー賞では作品、監督、主演男優、脚本賞との4部門受賞を飾っています。

映画「英国王のスピーチ」の基本情報

監督・登場人物&キャスト

トム・フーパー監督

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/トム・フーパー

監督:トム・フーパー
「レ・ミゼラブル」や「リリーのすべて」などを担当。

コリン・ファース

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/コリン・ファース

ジョージ6世役:コリン・ファース
子どもの頃からの吃音症に悩まされる。言語療法士ライオネルと出会い、自らが持つ権威や内面と格闘する。

ジェフリー・ラッシュ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジェフリー・ラッシュ

ライオネル・ローグ:ジェフリー・ラッシュ
ジョージ6世の吃音症改善を担当することになった言語療法士。無資格ながら、戦時中に行っていた独学治療が評判を呼んでいる。

ヘレナ・ボトム・カーター-min

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘレナ・ボナム%EF%BC%9Dカーター

エリザベス:ヘレナ・ボトム・カーター
ジョージ6世の妻。吃音症や重大な責務と格闘する夫を傍らで常に見守っている。

ガイ・ピアーズ-min

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ガイ・ピアース

エドワード8世:ガイ・ピアース
ジョージ6世の兄。王としての務めをおざなりにして愛する女性に夢中な遊び人的ポジション。でもけっこう良いやつっぽい。

映画「英国王のスピーチ」のあらすじ

ジョージ6世は幼い頃に吃音症を発症。それがコンプレックスとなって人前で話すことのままならない内気な性格へと成長していた。

何人もの言語療法士に自身の吃音症を治してもらおうと試みるも、全て失敗に終わる。途方に暮れていたころ、妻エリザベスの誘いから言語療法士ライオネルのもとを訪ね、相談にのってもらう。

診療のときには、地位や権力関係なく、常に対等な立場を求めたライオネル。最初は彼の横暴さや無作法な療法に苛立ちを募らせていたジョージ6世だったが、徐々に意気投合。自身の内面や葛藤をも包み隠さず話し合える友情が芽生える。

自身の公務を放棄して愛人と共に暮らすジョージ8世。第二次世界大戦を機に困惑し、鬱蒼となる大衆。スピーチが満足にできないことのくやしさ。周囲から重たく圧し掛かる王族としてのプレッシャー。

ジョージ6世はそのすべてと戦い、向き合っていく。

映画「英国王のスピーチ」のネタバレ感想

ライオネルの共感力・洞察力・貫禄すげえ

映画「英国王のスピーチ」で大きな見どころはズバリ、言語療法士ライオネルのずば抜けた個性と能力!

中でもジョージ6世が人知れず奮闘していた孤独の部分にフォーカスを当てて、彼を癒すような強い共感ができていたことと、吃音症の原因を見抜いた鋭い洞察力が凄すぎでした(‘_’)

まず診察だといっても、国家を担う王に向かってけっこう雑な扱いが出来る肝の座り具合が気持ちいい。

だって日本で言うところの天皇?的なポジションの人に向かって堂々と、いじったり、からかったり、問い詰めたりしてて、鑑賞者側がもうハラハラするような絡み方するんです。

ジョージ6世が診療所に訪れて初めてのときから、ライオネルは英国王に対して「ここでは地位も関係なく対等な立場でいてもらわねば治療に差し支えます」といった感じの尊大な態度。

煙草を吸おうとしているのを無理やり制したり、「怒鳴っているときは饒舌なんだな」と挑発したり、いかにも落ち着き払った口調なのに、鋭くとがったことをバンバンかましていくので、観ている側は不安だけれど、それよりも駆け引きの妙と言うか、会話のコミカルな印象が打ち勝つ感じです。

ときにはジョージ6世に下品な下ネタを言わせまくったりもするんですが、やり取りがチャーミングで可愛らしい。

でもそこは、ライオネルの言語療法士としての手腕と、人間としての総じた早熟度合いがあってこそ成立している関係性だなーと感慨深くなります。

そんな一人の老成した人間味をとことん感じられる作品です(・ω・)

ジョージ6世の吃音症の背景にあるもの

今作「英国王のスピーチ」では、吃音症に苦しむイギリス国王ジョージ6世と、言語療法士のライオネルとの関わりを軸に人間模様が繰り広げられていきます。

吃音症は生まれつきの症状ではなく、その人の生まれ育った背景が濃厚に絡んで生まれるものだと、作中でライオネルが自身の見解をライオネルに話すシーンがありました。

そのときにジョージ6世から語られる自らの幼い頃の記憶。

  • 父親への恐怖心
  • 乳母から受けたいじめ体験
  • 左利きから右利きへの矯正

複数の要素がジョージ6世の自尊心の欠如や内的不安を増幅させて、現在の王族としての葛藤を重なり、吃音症を大きな問題へと浮き上がらせていたことが明るみになります。

お父さんだったジョージ5世。

父性的な側面がジョージ6世を精神的に圧迫していて、大衆を引き付ける演説にも優れている人で、そこもまたプレッシャー。

第二次世界大戦下、大衆を鼓舞し、落ち着かせるためにも王族のスピーチは重要課題としてあり、ジョージ6世を取り巻く周囲の人々も、国の先頭に立って導く光としての王の像を期待しています。

乳母からも虐めを受けていて、父からもプレッシャーを与えられ、終いには利き手の矯正までさせられて、ジョージ6世の自尊心は少しずつ削り取られていき、成長しても堂々と自分の姿を誇示してスピーチを行うことが難しくなっていたんですね。

子どもの頃からの成長過程にあった要素が知らぬ間に自己形成を妨げたり、捻じ曲げたりするらしく、

今まで誰も気に留めていなかったその吃音症の根幹の部分を見抜き、改善しようとしたライオネルの手腕がやっぱすげえってなりますよね(・ω・)

兄貴あかんやーん

作中ではジョージ6世の英国王としての権威や、大衆・身内からの期待と重圧に苦しむ様子も克明に描かれています。

中でも重大な問題が遊び人の兄エドワード8世の職務怠慢(‘_’)

冒頭ではまだ十分に心身共に活発的で公務もこなしていた父ジョージ5世でしたが、第二次世界大戦の動きが入り乱れていく頃に床に臥せ、亡くなってしまい、今後の英国王としての座はエドワード8世のもとに委ねられてしまうんです。

これから一念発起して戦火を乗り越えていかねばという肝心なときに、即位したエドワード8世はバツ2の悪女に魅了され、彼女と結婚したいと言い出したり、公務を忘れて遊び耽っていたり、国家の存亡としては凄まじい暗黒模様。

何とか兄に英国王としての自覚をもってもらいたいと尽力するジョージ6世ですが、そんな甲斐も虚しく、ついにエドワード8世は愛する女性との余生を過ごすべく王座を献上してしまう始末。

空になった英国王の立場を、今度は弟のジョージ6世に渡ってしまいます。

ずっと即位から逃げようとしていた彼。

ジョージ6世自身は吃音症のことや自信の無さから悲観的になり、「自分は英国王としての資格がない」、「英国王として大衆を導くことなんて無理だ」という感じで、心の中は現状に打ちひしがれてしまっていました。

自由奔放な兄を持った手前、幼い頃からしっかりしなければいけなかったのかなあと、彼の懸命に奮闘する姿に、なんだか応援したくなるような気持にさせられます(+_+)

絶対に逃げないですから、やっぱ根性が凄いなーと。一見すると終始ネガティブで、駄目だ、できないが口癖な彼ですが、現状を変えようとしてとことん努力を怠らないので、やっぱかっけえなあと。奥様のエリザベスが傍で愛情をもって支え続けるのも分かるなあと。しみじみしました。

そんな性格の両極端な兄と弟との確執も本作の見どころです。

乗り越えた先にあるもの

ジョージ6世が英国王として即位し、ドイツへの宣戦布告として行った最終局面でのスピーチ。

なんどもなんどもくじけそうになり、ときにはライオネルとの仲違いや仲直りもあり、兄とのトラブルもあり、様々な局面や内的葛藤を乗り越えて、ようやく大詰めを迎えたこのスピーチがめちゃくちゃかっこいい!!

ぶっちゃけこのスピーチに至る寸前でもまだジョージ6世の声はおぼつかず、一応はきはきと喋る箇所もあるんだけれど、なんとなく不安という仕上がりで、鑑賞者として一緒に道のりを歩んできた手前、「あれ、いけんのか、てか、いってくれ」みたいな、半ば祈り気味で見守る感じになりました。

王族と庶民という距離感を見事に掻き消したジョージ6世とライオネル。ラストスピーチではマイクだけ置かれた個室で二人きり。

ここでライオネルはじっとジョージ6世の目を見据え、「私だけに語り掛けるように」と言って、英国王として大衆に語りかけるという構図事態を希薄にさせて安心させてあげようとするシーンがあるんですが、これがめちゃ良いシーンです。

最初は途切れ途切れになりそうだったジョージ6世の声も、途中から、その独特の遅い間を利用して威厳に満ちた堂々のスピーチへと昇華されていきます。

つっかえそうになったところですかさず、目の前で優しく微笑むライオネルが救いの手を差し伸べて、二人三脚で成し遂げる感じにもジーンときてしまいました。

ひとつの大きな成功体験を積んだジョージ6世の晴れやかな表情にも注目です(*^^)v

映画「英国王のスピーチ」のキャストや監督 関連作品

最後に映画「英国王のスピーチ」のキャスト陣や監督に関連する他の作品をちょこっとだけご紹介していきます!!

トム・フーパー監督作品「レ・ミゼラブル」

まずはトム・フーパー監督の人気作「レ・ミゼラブル」。

ヴィクトル・ユゴーの小説を原作として世界各所にてロングランされたミュージカルを映画化した作品。

名作のミュージカルをあのヒュー・ジャックマンを筆頭とした豪華俳優陣にて完全映画化したものです。

ジェフリー・ラッシュがあの天才彫刻家に!「ジャコメッティ 最後の肖像」

フランスの芸術家アルベルト・ジャコメッティをジェフリー・ラッシュが演じた作品。

天才と言われ、数々の個性豊かなドローイングや彫刻を残した芸術家の日常をとてもコミカルに噛み砕いて描いた映画で、初めてジャコメッティを知る人にもおすすめです。

ジェフリー・ラッシュは何をやってもやっぱり尖っていてチャーミングだなあとしみじみ思いました。

エリザベス女王だった彼女が退廃的な悪女に!?「ファイトクラブ」

「英国王のスピーチ」でエリザベス役を演じていたヘレナ・ボトム・カーターが、なんと真逆の悪女を演じたのが、この「ファイトクラブ」。

ブラット・ピットのかっこよくてファンキーな男性像に、ヘレナ・ボトム・カーターの見事な退廃っぷりが加わって、アンダーグラウンドの反骨心が一貫して作品を染め上げています。

現実社会にはむしゃくしゃしてるぜ!!

みんな大衆が決めた価値に振り回されやがって!!

というメンタルの人にはぜひおすすめの作品です。

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